PROJECT OUTLINE
販売する量だけにとらわれず、
質の向上も実現!
売上を5倍にした
樋口流のプロジェクトD
ブリヂストンタイヤの取り扱いシェアが低い劣勢店に対して、どうすればもっと販売量を増やせるかを考え抜いた結果、お客様が見積り・商談に要する時間と手間を大幅に短縮、効率化できるツールを自作した樋口雄介社員。お客様の課題解決に貢献しながら売上を5倍にし、次のステップではより高性能なプレミアム品の比率を高めることに成功。自らの取り組みをプロジェクトDと名付けた樋口社員と、プロジェクトを見守りサポートしてきた原享史所長の二人にお話を聞きました。
MEMBER
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プロジェクト推進者
柏営業所 営業担当2019年入社
樋口 雄介
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上司(アドバイザー)
柏営業所長/柏物流センター長1998年入社
原 享史
EPISODE 01
現状のシェアが低いからこそ
伸ばせた時の成果が大きい
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原
樋口くんが、ブリヂストンのシェアが低いお客様を重点的に攻略しようという目標を立てたのは、営業になってまだ間もない2020年の秋だったね。
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樋口
はい、私が担当しているお客様のなかでも、当社の製品があまり売れていない劣勢店といわれる拠点の数字を伸ばせば、余裕をもって目標を達成できると考えました。
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原
まずは毎日訪問して、お客様との関係性を深めながら情報を収集したことがプロジェクトDの基盤になったわけだ。
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樋口
営業として圧倒的に足りない知識や経験を補うためには、若さとフットワークを最大限に活用するしかないと思ったんです。競合他社よりも訪問頻度を高くすることで、差別化するしかないと。ただ、いきなり仕事の話をしても聞いていただけないので、他愛もない雑談から入るようにしました。全然関係ない話のなかに、ポロっと仕事の悩みや苦労について本音が漏れるため、常にアンテナを高く張っていました。
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原
お客様との距離が少しずつ近づくにつれて、見えてきた課題はどんなことだった?
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樋口
やっぱり人手不足です。限られた人員で日々の業務に追われているため、タイヤの見積りや商談に手が回らないという実情が見えてきました。お客様にとってタイヤはアイテムの一つに過ぎないので、あまり手間と時間をかけられません。お客様が効率よくタイヤを販売するために、自分に何ができるかを懸命に考えました。そこで思いついたのがタイヤの見積り・商談にかかる時間を短縮するツールです。
EPISODE 02
20%だったプレミアム品の比率を
半年間で70%へ大幅アップ
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樋口
私が考えたタイヤの見積り・商談ツールは、お客様が管理用に使っている品番とサイズ、価格をまとめて掲載した一覧表です。エクセルのシートで作成したシンプルなものですが、お客様にはとても好評でした。タイヤは種類もサイズも多いので、見積りを作るのが大変です。でも、このツールを使えば、商談をしながら自社の品番と価格を照合して、その場ですぐに見積りを作成できます。
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原
前任の担当者も商品の価格一覧は作っていたけど、そこから一歩踏み込んで、お客様が社内で使っている品番まで入れたのは樋口くんオリジナルのアイデアだね。WEBに時代がシフトしていくなかで、リアルな営業によりコミュニケーションを重ねて情報収集した結果、お客様の課題を把握して見積り・商談ツールの開発に繋がったと思うよ。
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樋口
はい、泥臭いかもしれませんが、対面でなければ信頼関係を築くのは難しいと思います。見積り・商談ツールがきっかけになって少しずつ取引が増えて、3カ月後には月20本だった売上が80本~100本に達していました。自分としても初めての経験で喜んでいたのですが、当社のある会議で地区本部の方に「量は増えたけど、質が伴っていない」と指摘されたんです。確かに本数は伸びましたが、廉価品が80%を占めていました。
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原
グレードの高いプレミアム品の比率を高めるのは簡単なことではないけど、指摘を受けてから樋口くんは半年間で一気に70%に上げたね。プロジェクトDの第2段階が成功できた理由は何だったのかな?
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樋口
お客様の販売戦略に大きな影響力を持つ工場長と、現場のスタッフの双方に働きかけたことです。工場長にはプレミアム品が売れるようになれば、お客様の利益が増えるだけでなく、ユーザーの満足度向上も実現できると説明しました。現場のスタッフにはタイヤの販売ノウハウを凝縮した「ちゃんと買いセミナー」を実施して、プレミアム品の価値を理解してもらいました。スタッフ全員を集めてセミナーを開くのは難しかったので、お客様のところへ訪問した際に、手の空いていそうな人を見つけては、少しずつ当社製品への理解を深めてもらいました。
EPISODE 03
一つの小さなアイデアが
業務効率化のソリューションに
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原
初めてお客様にセミナーを実施して、成果に繋がったことは自信になったと思います。しかも、ただマニュアルに沿って話すだけでなく、自分の言葉にしてお客様のスタッフがわかりやすいようにアレンジしていたよね。いろいろ相談を受けながら感心していました。
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樋口
ありがとうございます。セミナーを行ったことは自分自身の勉強にもなりました。このプロジェクトを通じて自分が一番成長できたなと感じるのは、ただ販売本数を考えるだけでなく、より高品質な製品を売ろうという意識が芽生えたことです。工場長から依頼されて、3カ月に1回だった販促イベントも毎月2回に増やしました。好調な売上を維持していますが、そこに満足しないでさらにグレードの高い製品にシフトしていきたいと考えています。
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原
立ち止まらずに、常に次の目標に向かう意欲の高さは、樋口くんの良いところだと思います。プレミアム品のように高品質な製品が売れるようになると、お客様の売上も伸びるし、タイヤを買いに来るユーザーの満足度も向上するので、Win-Winの好循環を深められます。私がこれからの樋口くんに期待するのは、プロジェクトDをモデルケースとして、他のお客様へ展開していくことです。既に樋口くんが作った見積り・商談ツールは、同じ系列のカーディーラーを担当している先輩も使っていて、営業所内の業務効率化にも一役買っています。発想も仕組みもシンプルだけど、お客様にとっても、私たちにとっても効率化という課題に対するソリューションとして機能を発揮している。AIでもクラウドでもなく、樋口くんが思いついた品番を入れようという小さなアイデアこそが、大きなソリューションを生む種になったよ。
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樋口
確かにそうですね。お客様が見積り・商談ツールを支持してくださったことが、プロジェクトDの成功に繋がりました。ただ、プロジェクトDも万能ではないため、お客様に合わせてアレンジを加える必要があることもわかってきました。少しずつ準備を進めていますので、もう少し待っていてください。何か迷うことがあったら、すぐに相談します。
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原
いつでも声をかけてください。楽しみにしています。今日はどうもありがとう。